公演名 | 大分県立美術館開館記念公演 iichiko総合文化センター 室内楽Collection Vol.1 Euro Sound 弦楽五重奏 赤坂智子×クス・クァルテット |
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日時 | 2015年6月4日(木) | |||||||||||||||
時間 | 開場18:30 開演19:00 終演予定21:00 | |||||||||||||||
会場 | iichiko総合文化センター iichiko音の泉ホール | |||||||||||||||
出演 |
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曲目 |
・W.A.モーツァルト:弦楽五重奏曲 第1番 変ロ長調 KV174 W.A.Mozart (1756-1791) String Quintet No.1 in B-Flat Major, KV174 ・G. クルダーグ:弦楽四重奏曲 第2番 Op.28 「小オフィチウム エンドレ・セルヴァンスキを追悼して Op.28 G.Kurtag (1926-) Officium breve in memoriam Andreae Szervanszky, Op.28 ・J. ブラームス:弦楽五重奏曲 第2番 ト長調 Op.111 J.Brahms (1833-1897) String Quintet No.2 in G Major, Op.111 | |||||||||||||||
料金 | S席3,000円[友の会 2,700円] U25 1,500円(25歳以下) | |||||||||||||||
チケット発売 |
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チケット取扱 |
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主催・お問い合せ | 公益財団法人大分県芸術文化スポーツ振興財団 097-533-4004 | |||||||||||||||
後援 | 大分県、大分市、大分県芸術文化振興会議、大分合同新聞社、OBS大分放送、TOSテレビ大分、OAB大分朝日放送、 OCT大分ケーブルテレコム、エフエム大分、月刊・シティ情報おおいた、ゆふいんラヂオ局 | |||||||||||||||
備考 |
・U25割引と友の会割引の重複割引無し。 ・未就学児の入場はご遠慮いただいております。 ・満1歳以上の未就学児を対象として無料託児サービスを行っております。 (要予約:097-533-4004)ご希望の方は5月29日(金)17:00までにお申し込みください。 |
今回のツアーのきかっけになったのは、私とチェリストのミカエルが、初めて一緒に演奏した10年程まえのスイスのプロジェクトにさかのぼります。互いに異国からやって来てヴィザなど取り難いスイスで演奏活動していること、学校は違えどハンガリーに留学していたこと(彼はティボールヴァルガ音楽院、私はブダペスト・リスト音楽院)という背景もありすぐに意気投合しました。それからすぐに彼はクスQに入り、スイスとベルリンを行き来し始め、私も3年後にベルリンに拠点を移し、スイスとの行き来を始めました。ベルリンに来てからは、だんだんとクスQのメンバーそれぞれとも知り合い、引っ越しの手助けなど、「私の事を面倒見てくれるカルテット」となりました。それも、それぞれのメンバーが別々に協力してくれるようになっていました。そして最近になり、「なぜこんなに仲が良く、音楽的にも理解し合える5人なのに全員で会った事がないんだ!?お互いのプロジェクトで協力しあえばいつでも会えるじゃないか!」ということになりました。ヨーロッパで初めて一緒にした2年前のドイツ、ヴォンフルトでのコンサートは予想以上の成功を収め、2015年5月にはロシア、そして6月は日本、というようにトントン拍子に話が進んできました。これも、ビジネス面だけでなく、友人としてのコミュニケーションがあったから腹を割った話が出来てお互いに協力し合ってこれたのだな、と痛感しています。
でも、何よりも重要なのは音楽です。私がとても彼らに共感するのは、自分たちの好みをグイグイ全面に押し出すのではなく、何よりも作曲家のメッセージに誠実に向き合う姿勢です。現在は派手さを追求するあまり、どの作曲家を聞いても同じに聴こえる演奏家が多く、時々ワックスでベトベト、ピカピカに光った、でも栄養はない季節外れの果物のように感じてしまう事が多々あります。
彼らは、見せびらかすような個人技を追求するのではなく、あくまで【「皆で」どういうハーモニーを奏でるか、そこでどういう音楽が鳴っているのか、それを聴衆も含んだ「皆で」探す】という様なスタンスを取っています。私にはこれこそ音楽の一番美しい所なのではないのか、と思います。聴衆を含んだ「皆が」それぞれの思いを馳せる。同じプログラムでもその日、その時間、そこにいる聴衆では全く違うものになる。一期一会のコンサートでそういう空間を与えてくれる音楽家はとても少ない。私が尊敬しているのは彼らがそれを4人で”1つの音の時”として作り上げている所です。
クス・クァルテットは現在では、ヨーロッパを代表する弦楽四重奏団の1つとなり、ベルリンのフィルハーモニーホールや、アムステルダムのコンセルトヘボウ、ロンドンのウィグモアホールなど世界的権威のあるホールの常連となっています。多忙を極める彼らとの日程調整はとても難しかったのですが、2週間にも及ぶ日本ツアーを、私に完全に任せてくれました。というのも彼らの前回の日本ツアーは東日本大震災、3.11の直後で、関西公演は敢行したものの、他の公演はキャンセルせざるを得なくなり、不完全燃焼で日本を後にしました。いつか絶対日本に帰って来てきちんとコンサートという形で詫びたい、と彼らはずっと折りあるごとに私に話していました。
今回のコンサートでは、その気持ちを出来るだけ分かりやすい形で皆さんに伝えたいと思います。プログラムの歴史背景や、作曲家のその当時の暮らしぶりなど、音楽家は音楽を通して表現しますが、今回は言葉で説明してしまおう。リハーサルの情景なども同時通訳し、音楽家の人となりもお伝えしようと思っています。また、カルテットとも私とも縁の深い、現代作曲家の最後の巨匠の一人、クルターグ・ジェルジュの曲が入っています。この作曲家は、「私の音楽は俳句をモデルにしている」と言っていますが、そのどこが俳句なのか、など音楽家からのアプローチで楽しく説明して行こうと思います。
これまでになかったコンサートになりそうですが、終演後に皆さんが今までになかった違う視点で舞台を見た(聴いた)気持ちになるようにしてみたい、と私自身とてもワクワクしています。このワクワク感をクスQ、聴衆のみなさんと共有し、一期一会のコンサートを共有したいと思っています。
(1月1日 ベルリンにて 赤坂智子)
●赤坂智子HP(英語のみ) http://www.tomokoakasaka.com/
●クス・クァルテットHP(英語・ドイツ語のみ) http://www.tomokoakasaka.com/